胃潰瘍にならないシマウマのようにストレスとうまく付き合うには音楽が良いと科学的に実証されつつあります
Photo by Sias van Schalkwyk
ストレス研究の第一人者であるアメリカの生物学者ロバート・サポルスキーは自身の著書『なぜシマウマは胃潰瘍にならないか』の中でシマウマはストレスを長引かせないということを書いています。
シマウマのストレスと言えば、例えばライオン。ライオンが突然飛び出してきたら「うわ、やばい。逃げろ!」と反応しますが、いったん逃走するともう次の瞬間にはすっかり忘れているというのです。
だからストレスが溜まらず、胃潰瘍にもならない。
サポルスキーはさらにこんなことを言っています。
「野生動物はライオンから逃れるのに30年は要しない。しかし、人間は30年ローンやそれ以外の長期に渡る問題を抱えている」と。
確かに、その通りですね。現代社会のストレスの特徴は長期に渡るということ。シマウマみたいに一瞬で忘れてしまえればいいのですが、嫌な上司には毎日会いますからね。
でも、ずっと嫌な上司やローンの事を考えていても仕方がないですから、やはり何らかのストレス解消法は身につけておいたほうが良さそうです。
音楽を聴くとストレスが解消されるのが科学的!?
音楽の重要な効果として、「ストレスを軽減する」というものがあります。これは、音楽療法に代表されるように医療の世界でも少しずつ浸透してきていることです。私たちは経験的に音楽を聴くと癒やされることを知っています。現代の脳科学ではそれが科学的に実証されてきています。ストレスホルモンの代表といえば「コルチゾル」。ストレスと感じるとこのコルチゾルが分泌されます。コルチゾルは記憶を司る海馬を萎縮させてしまうため、記憶に障害が出たり、うつ病になったりします。
好きな音楽を聴いているときにはドーパミンやβエンドルフィンといった快感ホルモンが分泌されることが分かっており、これがストレスホルモンのコルチゾルを低下させます。
感覚的に「音楽は癒やされる」ということは分かっていましたが、科学的にも間違いのないことです。音楽を聴くことはまさに生理現象であり、ホルモンの関係により私たちの感情は変化します。
シマウマのようにストレスとうまくつき合うためにも音楽を効果的に使っていきたいものです。
この記事を書いている人
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新潟大学教育学部芸術学科でピアノ演奏と音楽心理学を専攻。音や音楽が人の感情におよぼす影響について研究する。飲食店やオフィスなど商用BGMに関するコンサルティング、ビジネス書、専門誌への寄稿、医療学会での講演、ラジオ、テレビ、雑誌などメディア露出も多数。BGMアドバイザーとして音楽を提供する企業への協力や、個人向けに音楽心理カウンセリング(音で心を整える)をおこなうなどその活動は多岐に渡る。
著書に「心を動かす音の心理学」がある
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