性行為と音楽はどちらが大事か
イギリスでこんな実験が行われました。
16歳から24歳の男女に対して「1週間性行為無しの生活を送るか音楽無しの生活を送るかのどちらかを選ばないといけない場合、どちらを選びますか?」という質問に答えるというもの。
回答は、10代では70%以上の人が「性行為無しの生活」を選んだとのことです。
普段、性行為と音楽なんてどちらが大事かなんて比べることはないですが、
あらためて問われると、上記のような回答になるのですね。
当たり前のように私たちの周りにある音楽。
突然、すべての音楽が消えたとしたら、人間にとって相当なストレスなのでしょう。
脳科学的にみても、この回答は至極自然ともいえます。
音楽と性行為は脳の領域は同じ。快感の種類は同じなのです。
では、性行為ではなくもっと生きるために必要な食事と比べてみましょう。
(性行為ももちろん人類の繁栄には必要不可欠ですが)
「一週間、メシ抜きと音楽抜きではどちらを選びますか?」と言われたならどうしますか。
どうもこうもないですよね。
「メシ食わなかったら生きていけないでしょうが。何をくだらないことを!」と怒られるかもしれないですね。
ドビュッシーを一週間聴かなかったからといって倒れることはありませんが、
一週間ご飯を食べなかったら、それはまずい。
誰もが、ご飯を取るでしょう。
では、状況を変えてみましょう。
あなたは、船で遭難し無人島に漂流しました。
歩いて一周しても30分ほどの小さな島で人影はおろか生命の影もありません。
どこからも助けはきません。もう、あきらめかけていたあなたは次のどちらかをもらえるとしたらどちらを選びますか?
・一切れのパン
・お気に入りの音楽が入ったiPod
こう考えてみると、状況によっては音楽かな……という気にもなりますね。
もちろん、もう助からないのにパンはいらないという意見もあると思いますが、
それでも音楽を欲してしまう感情は不思議です。
音楽を聴いたときの気持ちよさは、性行為や食事、睡眠、ドラッグなどと同じです。
大脳辺縁系といわれる、古い脳が反応するからです。
爬虫類にも存在する生命の基本的な活動を担う場所で音楽を感じているということは、
人類が生存、進化するために必要だったと考えざるを得ません。
ここ10年ほどで急激に音楽と感情の研究が進みましたが、まだまだ謎は深そうです。
只今のBGMはこちらのドビュッシーです。
58秒からのフレーズがゾクゾクします。
この記事を書いている人
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新潟大学教育学部芸術学科でピアノ演奏と音楽心理学を専攻。音や音楽が人の感情におよぼす影響について研究する。飲食店やオフィスなど商用BGMに関するコンサルティング、ビジネス書、専門誌への寄稿、医療学会での講演、ラジオ、テレビ、雑誌などメディア露出も多数。BGMアドバイザーとして音楽を提供する企業への協力や、個人向けに音楽心理カウンセリング(音で心を整える)をおこなうなどその活動は多岐に渡る。
著書に「心を動かす音の心理学」がある
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