音楽をはストレスを減少させたり運動能力を上げたりするのはなぜか
photo © 2008 ePi.Longo , Flickr
音楽を聴くとコルチゾールレベルが低下しストレスを軽減させることができる
音楽を聴くとストレスが減少しリラックスすることができることは経験的に納得できるところでしょう。毎日の疲れもマイホームに帰ってお気に入りのソファーに寝転がりながらドビュッシーの月の光を聴けばそれは眠ってしまうほどリラックスできますね。これは音楽を聴くことでストレスホルモンであるコルチゾールレベルが低下し、結果的に気持ちが落ち着きリラックスしていると感じるためです。
医療の現場では音楽とストレスホルモンに関する実験は多数行われており、同じような結果を残しているようです。
手術前に好きな音楽を聴かせた場合は、音楽を聴かせない対照群に比べて極めてストレスホルモンの分泌を抑えることができたという報告もあります。
ここでポイントになるのは「好きな音楽」であることです。例えドビュッシーの名曲を聴いたとしても、何かの理由で過去の嫌なことを思い出してしまう人にとっては苦痛以外なにものでもありません。
「好きな音楽」であることに加えて、リラックスできる音楽の要素としてはリズムとテンポです。
ドイツのベルリン自由大学では強いリズムを持つ曲ではなく、瞑想を促すような曲を聴いたときに有意にコルチゾールレベルが下がるという報告をしています。
リズムがやわらかくテンポがゆったりした音楽のときに人はよりリラックスできることは間違いなさそうです。
コルチゾールは決して悪者ではない
ここまでストレスホルモンであるコルチゾールが語られると、なんだか悪者にしか見えませんがそんなことはありません。ストレスホルモンであるコルチゾールはリラックスとは逆に働くということであってそれ自体が悪いということではないのです。
むしろ、筋肉への血流を増やしたり、血圧を上げたり、危険な場面に遭遇したときにいつも以上に身体能力を上げてくれる機能も持っていることは重要な要素です。
アスリートが試合前に音楽を聴いている場面をよく見かけますが、あれは意図的にそういった音楽の機能を利用しているのです。
現に、あるアマチュアランナーにテンポが速い音楽を聴かせた場合にはコルチゾールレベルが上昇したとの結果が得られています。
私個人も夜のBGMには比較的リラックスできるようなクラシック音楽を聴いています。
最近のお気に入りは相変わらず、ディディエ・スキバンというピアニストです。何度聴いても洗練されたメロディーで心が落ち着きます。
でも、来月に控えているテニスの試合前にはロッキー辺りを聴いて筋肉に血流を送ろうと思います。
ペットショップボーイズもいいな。
この記事を書いている人
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新潟大学教育学部芸術学科でピアノ演奏と音楽心理学を専攻。音や音楽が人の感情におよぼす影響について研究する。飲食店やオフィスなど商用BGMに関するコンサルティング、ビジネス書、専門誌への寄稿、医療学会での講演、ラジオ、テレビ、雑誌などメディア露出も多数。BGMアドバイザーとして音楽を提供する企業への協力や、個人向けに音楽心理カウンセリング(音で心を整える)をおこなうなどその活動は多岐に渡る。
著書に「心を動かす音の心理学」がある
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