BGMの効かせ方vol.02 ~USEN WithMusic連載
USENのWithMusicの連載の第2回です。
今回のテーマは「BGMで作る”買いたくなる”売り場づくり」です。
お客様の無意識部分に訴えるBGMの効果
街の小売店を覗いてみると、ほとんどのお店でBGMをかけています。おそらく、お店の雰囲気を良くしたり、お客さんの印象アップを狙ったものでしょう。
もしかすると、無音では間が持たないから「何でもいいので」かけておこうというお店もあるかもしれません。
しかし、近年の音楽心理学の実験から、音楽が私たちの感情や行動に大きな影響を及ぼしていることが分かり始めました。
ワインの購買傾向を例にとってみましょう。
ある実験では、ワインを選ぶ際にBGMがフランス音楽であるときにはフランス産ワインを、ドイツ音楽であるときにはドイツ産ワインを選ぶ傾向が強いことが分かりました。
ここで重要なことは、購入者は音楽の存在にまったく気づいていなかったことです。
どんな音楽が流れているのか、またそもそもBGMが流れているのか意識もしていないのに、その購買傾向ははっきりと示されたことは音楽が私たちの感情や行動に大きな影響を与えていることほかなりません。
滞在時間を長くして購入機会を増やす
小売店ではお客さんの滞在時間を長くし、客単価をアップさせることが求められます。少しでも、長く商品を見てもらい、そしてよりたくさんの商品を買ってもらいたい。BGMを効果的に利用することで、お金も時間もかけずにそのような理想の環境を整えることができます。「居心地が良い」と感じる環境を作るには大切な要素が大きく2つあります。
一つは音楽のジャンル。もう一つは音楽のテンポです。
音楽のジャンルについては気をつけなくてはいけないのが、主観による好みです。
小売店では不特定多数の人が出入りします。あまりに好みが偏った、刺激の強いを感じるジャンルは避けたほうが良いでしょう。
例えば、無調音楽や演歌、ヘビーメタルなどは嗜好性が強いため、小売店には向いていません。ニュートラルな気持ちを感じるような音楽の中からお店のコンセプトや雰囲気に合わせたものを選ぶと良いでしょう。
ボサノヴァやジャズ、フュージョン、コンテンポラリー系の音楽が選びやすいのはそのためです。
雰囲気が良く、感じる感情はニュートラル。これを基準にしてみてください。
テンポについてですが、これはお店の環境によっても使い分けが必要です。
音楽のテンポについてはよく時間間隔について言及されることが多いのですが、ここではあえて「覚醒度」の違いを考えてみましょう。
テンポが速い音楽のときには覚醒度が上がり、興奮し、ノッている状態を作ることができます。
テンポがスローなときには、覚醒度は低く、より落ち着いた雰囲気を作ることができます。
お店の性格によってテンポはうまく使い分けていく必要があります。
賑やかでワクワクするような雰囲気を演出したいときにはアップテンポのBGMを。より落ち着いた雰囲気でゆっくりと商品を選んでもらいたい場合にはミドルテンポから場合によってはスローテンポのBGMを選ぶとよいでしょう。
季節感による高揚を聴覚から刺激する
年末も近づき、ハロウィンやクリスマスなどお店にとってはイベントが目白押しですね。商品ディスプレイにもより力が入ってくる季節です。いかにそのイベントに合った雰囲気作りが出来るかに売上が左右されるわけですが、BGMはその雰囲気を決定づけるのに最高に便利なツールです。
視覚と聴覚を比較すると圧倒的に視覚からの刺激量が多いと思いがちですが、その印象や感情を決定するのは聴覚からの刺激のほうが強いと言われています。
例えば、映画を考えてみたときに、背景に流れている音楽で大きく印象や感情が左右されることは誰しも経験するところでしょう。
同じ映像であっても、流れるBGMによってその映像が訴える印象は決定づけられます。
さらに、視覚からの情報と聴覚からの情報がマッチするときに共鳴現象が起こり、単独での印象よりも数倍強力なアピールをすることができるのです。
つまり、ベタではありますがクリスマスの売り場にはクリスマスのBGMを合わせるだけで最高の雰囲気を演出することができます。USENにはクリスマス・ソングといってもいろいろなジャンルがあり、より洗練された雰囲気を演出してくれるクリスマスチャンネルも用意されています。
洋楽チャンネルやピアノチャンネルなど同じ季節の音楽でも雰囲気は変わってきます。あなたのお店に合った季節のチャンネルを選んでみてください。
いかがでしょうか。
年末に近づくと、小売店は売り場づくりにエネルギーを注ぎます。季節感を演出する売場作りに音楽をプラスすることで、よりその雰囲気を高めることができます。
ぜひ、実践してみてください。
この記事を書いている人
- Twitter:@fermondo
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新潟大学教育学部芸術学科でピアノ演奏と音楽心理学を専攻。音や音楽が人の感情におよぼす影響について研究する。飲食店やオフィスなど商用BGMに関するコンサルティング、ビジネス書、専門誌への寄稿、医療学会での講演、ラジオ、テレビ、雑誌などメディア露出も多数。BGMアドバイザーとして音楽を提供する企業への協力や、個人向けに音楽心理カウンセリング(音で心を整える)をおこなうなどその活動は多岐に渡る。
著書に「心を動かす音の心理学」がある
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