音楽は過去にも未来にも心と身体を移動させることができる
photo © 2012 CMY Kane , Flickr
思い出し笑いをするとあなたの身体はどうなるか
私はよく思い出し笑いをします。それも、ニコっていうレベルを超えて吹き出したりすることもあります。この前は「蟹谷さん」のことを勝手に「毛ガニさん」ってあだ名をつけていて、実際に蟹谷さんにメールを送ろうと思った書き出しが「毛ガニ様」と書いてしまって、一人で爆笑していました。
いや、これは正確には思い出し笑いではないな。リアルタイム笑いですね。それにしても気づいてよかった、よかった。
毛ガニさんのことを書きたかったのではなくて、そんな思い出し笑いをしているときにはあなたの身体はどうなっているかということです。普通に考えると、何かを思い出しているときって心や脳は過去に移動している感じがしますけど身体はここ(現在)にいるように思います。
でも、そうでもないのです。身体もちゃんと思い出した時間にワープしています。
毛ガニさんの例えがあまりよくなかったので、ポンデリングの話にします。
あなたは大のポンデリング好き。三度の飯よりもポンデリング。朝起きたら、ポンデリング。お昼休みはポンデ黒糖。夕飯はポンデきなこ(微妙に違う気が)。要するに、あり得ないくらいポンデリングなわけです。
そんなあなたがインドへの旅行でしばらくポンデリングを食べられなくなりました。一週間の滞在の後、明日には日本に帰ってポンデリングが食べられる。そんなときあなたの頭にはポンデリングしか浮かんできません。そして、その瞬間あたなの身体では何が起こっているのか!
そう、よだれが垂れまくりなわけですね。それはそうです。毎日、ポンデリングを食べていたあなたが一週間もおあずけだったのですから、当然です。
すると、どうでしょう。過去のポンデリングを思い出しただけなのに、心と一緒に身体も移動したでしょう。感情が生まれることに加えてそれに伴った身体反応が必ず起きるのです。ちゃんと、身体もその時間に移動して反応しているということなのですね。
過去を思い出すことって、心だけが移動していると思いがちですが身体も反応しているのです。ほかにも、昨日訳の分からない上司にイライラしてしまったことを思い出してみてください。
心もイライラしたでしょうけど、例えば胃がちょっと痛くなってみたり、場合によっては頭痛になってしまったりするのではないでしょうか。
快の感情の記憶を取り出せば身体も気持ちよくなる
ということは、心の状態を常に快の状態にしておけば身体も健康ということです。嫌な思い出や辛かった過去などは思い出したとしても、負の感情が生まれてしまうことで身体もそのように反応します。
もちろん、負の感情がすべて悪いわけではありません。自分を知る上ではとても大切な要素です。
ただ、今回のテーマからは少し逸れるので一旦置いておくことにしましょう。
できることなら、身体エネルギーが湧いてくるような感情を抱くようにしたいものです。
それには、意識的に素早く感情を切り替えることが必要です。
訓練をして、瞬時に意識を向ける方向を変えることができれば良いのですがなかなか常にとはいかないでしょう。どうしても、放っておくと負の感情が生まれがちなのが人間です。
好きな音楽は一瞬にして快の感情を作り出す
そこで、おすすめなのが求める感情が含まれた音楽を聴くことです。音楽は記憶と強く結びつき、感情を呼び起こすスピードもとても速いという特徴があります。しかも、その感情が生々しく力強い。例えば、昔の恋人の写真を見つけてぼーっと眺めているとします。淡い思い出と共にゆっくりと時間が流れていくことでしょう。
では、写真ではなくて、録音されていた恋人の声を聴いたとしたらどうでしょうか。写真と比べて、瞬時にしかも生々しく記憶が呼び起こされるのではないでしょうか。
聴覚からの刺激は過去の記憶、感情と強く結びついているのです。
ついつい、負の感情が生まれてしまいそうな場面でうれしくなるような、エネルギーが溢れてくるような音楽を聴くだけであなたの脳と身体は元気になっていきます。
自分のテーマソングを作るといいですよという話はよくするのですが、これは本当におすすめです。
私がエネルギーレベルを高めたいときには、「ロッキーのテーマ」です。
同世代の男性ならほぼみんな「この音楽を聴くと、腕立て伏せしたくなるぜ」と言いますね。この効果は本物で、単に気分が上がるというものではなく本当にパフォーマンスが上がります。毛ガニやポンデリングと同じように。いや、毛ガニは何のパフォーマンスも上がってないですけど。
あなたのテーマソングは何ですか?ぜひ、作ってみてくださいね。
この記事を書いている人
- Twitter:@fermondo
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新潟大学教育学部芸術学科でピアノ演奏と音楽心理学を専攻。音や音楽が人の感情におよぼす影響について研究する。飲食店やオフィスなど商用BGMに関するコンサルティング、ビジネス書、専門誌への寄稿、医療学会での講演、ラジオ、テレビ、雑誌などメディア露出も多数。BGMアドバイザーとして音楽を提供する企業への協力や、個人向けに音楽心理カウンセリング(音で心を整える)をおこなうなどその活動は多岐に渡る。
著書に「心を動かす音の心理学」がある
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