こんな風に音楽を聴くとちょっぴり幸せになれるという5つの方法
photo © 2008 SCA Svenska Cellulosa Aktiebolaget , Flickr
音楽の「聴き方」を教えてもらうということはほとんどありません。
それもそう、音楽は嗜好性の強いものだから他人からとやかく言われるよりも自分の好きに聴いたほうがいいに決まっています。でも、今回はあえて、こんな風に聴くとちょっと新しい発見があって幸せになれますよというポイントを5つ挙げてみました。
そのときの自分の気持ちにマッチした音楽を聴く
これは同質の原理と呼ばれるもので、自分の気持ちのマッチした音楽を聴くことで音楽の効果をより感じられます。明るい気分のときにノリノリの音楽はより一層あなたの興奮を高めてくれるでしょう。
反対に、落ち込んでいるときには自分の気持ちを代弁してくれるような音楽を聴いてみましょう。音楽が自分の気持ちを代弁してくれることで、誰かに相談しているような効果が得られます。
無理に明るい音楽を聴いて気持ちを盛り上げる必要はありません。誰だって、恋人に振られたばかりのときに「ぱーっといこうよ!」といわれてもいまいち乗り切れないものです。
音楽も同じこと。作曲家が伝えたいものがより一層感じられるのは、自分の気持ちに合った音楽を聴いたときなのです。
いつもは聴いていないジャンルをあえて聴いてみる
音楽の趣味は自分のアイデンティティです。思春期に異性の目を気にしてバンド活動を始めたりするのは、自分を音楽を通して強くアピールしたいから。
それは、アイデンティティの象徴でもあります。音楽はファッションと同じで、自分というものを形作り、周りにアピールするツールであることが多いのです。
クラシックを聴いている人は、少なからず「クラシックを聴いている○○な自分」というものを知っています。○○にはたとえば、一般的には「知性」とか「教養」とかが入るのでしょうが、あえて入れませんでした。
ロックやパンクなら、「みんなとは違う自己主張」や「ルールにはまらないスタイル」といったところでしょう。
そして、アーティストを見て分かるように服装にも影響します。
音楽って、無意識のうちに自分のアイデンティティになっていて、あらゆるところでそれが表に出てきます。
ということで、思い切っていつもとは違うジャンルの音楽を聴くことで新しい自分を発見できるかもしれません。
服装を変えただけでなんだか歩き方が変わったり、しゃべり方が変わったりするように聴く音楽を変えると考え方や思考パターンが変わったりします。
いつもJ-popだけ人はクラシックも、クラシック一辺倒の人はプログレとか。
いろいろ聴いてみるだけで、殻が破れるかもしれません。
圧縮された音楽はなるべく聴かない
iTunesに代表されるように、ダウンロードして音楽を聴く機会はますます増えています。もしかすると、「CDはあまり聴かない。ほとんどPCでダウンロードしている」という人もいるかもしれません。
人間は自然の音を聴くと癒やされ、心が研ぎ澄まされます。これは、自然の音を聴くことで私たちが進化してきた場面がたくさんあるからです。
水、風、鳥のさえずり。こういった音は古くから生活の一部として、なくてはならない音でした。
水は生命を感じさせ、風は獲物の動きや天候などを判断しました。鳥がさえずっていれば、安全な場所という認識ができました。
人間は自然の音を聴くことで、生命力を得てきたのです。
しかし、現代では自然界に存在しないような音やまた圧縮をかけて不自然な音楽が広まっているのも事実です。
明らかに圧縮してあるとわかる音楽をずっと聴いていると、ストレスが溜まるという報告もあります。
現在ではダウンロードされた音楽もかなりビットレートが上がっており、昔ほど劣悪な音質のものはなくなりましたが、やはり音は「良い音」で聴いたほうが良いに決まっています。
自然の音のようにすべてを包み込むような周波数に触れることは難しいですが、できる限り高音質かつ良いスピーカーを通して聴くようにしましょう。
耳の感性も研ぎ澄まされますよ。
コンサートに出かけたり、可能なら自分で演奏してみる
同じ音楽でも家で聴くのと、生のコンサートで聴くのはまったく異なる体験です。
家で聴く場合はどうしても「受動的」になりがち。ながら音楽で、BGM的に聴くことが多いでしょう。
生演奏のコンサートではそれが「能動的」になります。積極的に聴くという態度に変わるのです。
そうすることで、同じ音楽を聴いていても脳が感じる情報量は変わってきます。
音楽から感じる感情も能動的に聴いているほうが影響力が高いのです。
そして、視覚からの影響も少なくありません。これはミラーニューロンと呼ばれるもので、ある動作を見たときにあたかも自分がそれを行っているかのような状態になるという能力です。
あこがれのピアニストが演奏している様子を見ることで、自分も演奏している状態に近くなれるというのです。
聴いているだけの快感よりも演奏した快感の方がはるかに大きいもの。
もし、あなたが演奏の経験があるなら、お気に入りの音楽を演奏してみるのも良いでしょう。ただ、受動的に聴いているよりもはるかに大きな力を得られるでしょう。
好きな人とお気に入りの音楽を聴く
音楽は記憶と強く結びつきます。
音楽のチカラの一つに「一瞬にして時代を超えることができる」という効果があります。
幼いころに聴いていたウルトラマンの音楽を聴けば、一瞬にして小さな頃の自分やその環境、周りの話し声までよみがえってきます。
音楽は時間芸術といわれるだけあって、何十年という距離も一気に縮めてくれるのですね。
良くも悪くも、音楽と記憶は結びつくものです。
どうせなら、好きな音楽はよい思い出と結びつけたいですよね。それなら、今大切な人や大好きな人と自分の好きな音楽を聴いてみるのがいいでしょう。今の良い思い出が将来音楽とともによみがえってくることでしょう。
できることなら、あなたの好きな人も好きな音楽のほうがいいですね。
音楽はアイデンティティの象徴といっただけに、音楽の趣味が合うことは二人の距離を一気に近づけてくれる要素になるからです。
今が思い出したくない思い出にならないように、パートナーと幸せな時間を過ごしながら好きな音楽を聴いてくださいね。
いかがでしょうか。
音楽って好きなときに好きな音楽を聴くということが多いと思いますが、音楽心理学をちょっと応用してみるといつもの音楽がまた深く味わえたりします。
また、新しいジャンルを聴いたり、好きな人と聴いたりすることで新しい発見もあるかもしれません。
音楽の聴き方って誰にも教えてもらうことも考えることもないと思いますが、何かのときに思い出してみていただければ幸いです。
楽しい音楽の時間を!
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この記事を書いている人
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新潟大学教育学部芸術学科でピアノ演奏と音楽心理学を専攻。音や音楽が人の感情におよぼす影響について研究する。飲食店やオフィスなど商用BGMに関するコンサルティング、ビジネス書、専門誌への寄稿、医療学会での講演、ラジオ、テレビ、雑誌などメディア露出も多数。BGMアドバイザーとして音楽を提供する企業への協力や、個人向けに音楽心理カウンセリング(音で心を整える)をおこなうなどその活動は多岐に渡る。
著書に「心を動かす音の心理学」がある
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