なぜ、悲しいときには悲しい音楽を聴くことで癒やされるのか
音楽は私たちの感情を動かす強烈なパワーがあります。視覚要素よりも優れているのは極めて短時間で感情を変化させることができることです。道を歩いていて、クラクションを鳴らされれば一瞬でドキッとして感情も身体も反応します。
映画などもそうですね。映像だけだと、悲しいのか楽しいのかシリアスなのかどれとも取れる状況なのに、音楽が加わることによって一瞬でその意図することが分かり感情を揺り動かされます。
音楽が癒やしの効果があることは、誰もが経験的に分かっていることです。現代人が音楽を求める理由の一つに、癒やしは重要なキーワードです。今日は悲しいときにどんな音楽が1番自分を癒やしてくれるのかを考えてみましょう。
悲しいときには悲しい音楽を聴こう
悲しいとき、落ち込んでいるときはつい明るくノリノリの音楽を聴いて気持ちを持ち上げようとしてしまいがちです。でも、それは実は逆効果。悲しいときに、無理やり明るい音楽を聴いても実はあまり癒やされません。音楽に共感するときは「自分の気持ちが乗ったとき」です。辛く、悲しみに暮れているときに明るい音楽で「イェーイ。ノッてるかい!」なんて音楽が流れてきたら、やっぱり嫌ですよね(なんの音楽だ)。
自分の気持ちに合わせた音楽を聴こう
恋人に振られて、何かもかもが悲しい状態。何も手に付かないような状態のときには、一度その悲しみと向かい合うしかありません。これも、実は経験的に皆感じていることです。でも、ついカラ元気で無理やり明るくしようとしてしまうのですよね。「また、新しい人できるよ」と言われて、友人にカラオケにつれて行かれても、やっぱり周りが楽しくしているだけで「なんで私だけこんなに不幸なんだろう」なんて考えたりしてしまい、逆効果だったりします。一度、自分の気持ちに向かい合って乗り越えることが必要なんですね。
音楽は自分の気持ちを分かってくれる頼りになる存在です。無理やり明るい音楽を聴くのではなく、自分を代弁してくれるような音楽を聴くことが気持ちの回復に繋がっていくのです。音楽療法でも「同質の原理」といって、悲しいときには悲しい音楽が私たちを癒やしてくれることが分かっています。
でも、ずっと悲しい音楽ではだめですよ。気持ちの整理が付いたら、だんだん明るい音楽、元気が出る音楽に身を委ねることもお忘れなく。
「悲しい音楽」とひとことで表現していいのか分かりませんが、人間の悲しみや悲壮感などを感じさせる名曲です。
アルビノ-二のアダージョで知られる名曲。この曲を聴いて、自分と向き合うのもいいですね。
悲しい音楽のときには悲しい音楽が良いというお話はこちらの新刊にも書いています。
ぜひお読みください。
この記事を書いている人
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新潟大学教育学部芸術学科でピアノ演奏と音楽心理学を専攻。音や音楽が人の感情におよぼす影響について研究する。飲食店やオフィスなど商用BGMに関するコンサルティング、ビジネス書、専門誌への寄稿、医療学会での講演、ラジオ、テレビ、雑誌などメディア露出も多数。BGMアドバイザーとして音楽を提供する企業への協力や、個人向けに音楽心理カウンセリング(音で心を整える)をおこなうなどその活動は多岐に渡る。
著書に「心を動かす音の心理学」がある
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